日本では今ひとつなじみの薄いポーランドであるが、ポーランドでは日本の人気は非常に高い。著者は2017年から拠点をポーランドに移しているが、今まで訪れたどの国よりも日本に対する好感度・評価は高いと感じる。以前、ポーランドの“日本愛”について書いたが、今回は日本に惚れこみ、それをビジネスに生かしている人たちを紹介したい。(フリーライター ミハシヤ)
太宰治の「斜陽」の
ポーランド語版を出版
ワルシャワの繁華街の一角に昨年10月にオープンしたばかりの出版社・書店「Tajfuny」(タイフーヌィ)。運営するのは2人のポーランド人女性、オーナーのカロリーナさんと、ビジネスパートナーのアンナさんだ。
カロリーナさんはオックスフォード大学の日本語学科、アンナさんはアダム・ミツキェヴィチ大学(ポーランド・ポズナン)の日本学科を卒業しており、もちろん2人とも日本語ペラペラ。
2人が初めて会ったのは2018年の2月。そこで意気投合し一緒にビジネスをすることになったという。7月には物件を借りてリノベーションを始め、10月に店舗オープン、2019年1月にはTajfuny初の出版物となる、太宰治の「斜陽」のポーランド語版をリリースしたという。
ビジネスのスピード感がすごい。
原文のニュアンスが
伝わるような翻訳にしたかった
しかし、なぜ「斜陽」だったのか?
「以前にも斜陽の翻訳版は出版されていましたが、太宰独特の文体を伝えきれておらず、別の本になってしまったと感じていました。だからこそ、自分たちの手で納得できるものを作りあげたかったんです」とカロリーナさん。