米通信大手AT&Tは、昨夏に約810億ドルで買収したタイム・ワーナー(現ワーナーメディア)に対する支配力をついに固めたと言えそうだ。まず。そして、その数日後、タイム・ワーナーのメディア部門で長くトップを務めたHBOのリチャード・プレプラー最高経営責任者(CEO)とターナーのデービッド・レビー氏が辞任した。新たな支配者となったAT&Tの幹部が勝利を収めた形だが、その見掛け上の勝利には危険が伴っている。ネットフリックスなど他のハイテク企業は独自のコンテンツ事業を構築することに成功してきたが、それを内部資源によって進めてきた。エンターテインメント業界の経験がないAT&Tがエンターテインメント企業をうまく運営できるのだろうか。タイム・ワーナーの中心で才能や創造性を育ててきた2人が辞めてしまった今ではなおさらだ。