日本の旅の達人
宮田珠己さんによる画期的なガイドブック

 いまの日本で、旅の達人といえば、ドイツ文学者・池内紀さんとエンタメノンフィクションライター・宮田珠己さんだろう。(←あくまでも個人的感想です)。行き先の選び方といい、旅をする姿勢といい、申し分がない。その私的両巨頭のうち軽量級の方、宮田さんが世に問うたのがこの本『ニッポン47都道府県 正直観光案内』だ。ここに画期的なガイドブックだと断言しよう。してもしゃぁないけど。

 まず、日本全国47都道府県すべてが、ほぼB6サイズの290ページと、異常なまでにコンパクトにまとめられているのが素晴らしい。しかし、紹介されている目的地の数はやたらと多い。当然の帰結として、全体として説明は不親切である。

 しかし、ここぞという観光地、「高千穂峡の貸しボート」(宮崎県)、「立山砂防工事専用軌道」(富山県)、「奥祖谷観光周遊モノレール」(徳島県)、「妙立寺(通称・忍者寺)」(石川県)、「福井県立恐竜博物館」(福井県)、「沢田マンション」(高知県)あたりは、意味なくやたらと詳しい。

 なんやそれは、と思う人が多いかもしれない。しかし、このうち半分を訪れたことがある経験からいくと、どれもが詳しく書きたくなる気持ちがよくわかる素晴らしい観光地だ。残りの半分も、きっと素晴らしいに違いないから、なんとしても近日中に訪れたい。

 写真は、ない。そのかわり、宮田さん手ずからのイラストがところどころに付けられている。このイラストたるや、いらんやろうと思う人が圧倒的に多いような気がしないでもないが、なんともポイントを突いた鋭いものである。ということにしておきたい。

 グルメ、お土産、店、宿についての情報は、ない。観光施設へのアクセスや休館日情報などもない。そんなもの、いざ調べたくなったら、ネット検索で一発だ。かくして、この本、素晴らしいガイドブックが満たすべき条件をすべて満たしている。