保釈後、弁護士事務所から異動するカルロス・ゴーン元会長保釈後、弁護士事務所から移動中のカルロス・ゴーン元会長 Photo:REUTERS/AFLO

ゴーン元会長が保釈
無罪でも日産経営者には戻れない

 日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告が昨年末から年を越える長期勾留の中で5日、東京地裁は保釈を認める決定をした。検察はこの決定を不服として準抗告をしたが、地裁は棄却。これによりゴーン被告は6日、10億円の保釈保証金を納付して保釈された。

 注目されるのは、「無実」を主張するゴーン元会長の保釈後の動向だが、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載違反)と会社法違反(特別背任)の刑事裁判は司法に委ねるとして、ゴーン元会長が再び日産・ルノー・三菱自動車の経営者として復活することは100%ないと断言できる。

 その理由は明白。日産におけるゴーン長期政権下、絶大な権力支配による会社の“私物化”の実態が次々と明るみに出たことだ。当初は「推定無罪」を主張していた仏ルノー側の態度も変わった。ゴーン元会長勾留が100日を超える中で、日産からの説明やルノーの内部調査により、1月末にはルノー会長の職もゴーン氏からの「辞表の受理」という格好にはなったが、事実上の解任となった。

 つまり、昨年11月19日のゴーン元会長の突然の逮捕後、直ちに会長解任を決めた日産と三菱自に加えてルノー会長辞任と、ゴーン氏は3社連合トップの役職をすべて退いたからである。

ポストゴーンの
日産の経営体制はどうなるか

 最大の焦点は、ポストゴーンの日産の経営体制がどうなるか、3社連合の方向がどうなるかであろう。

 ルノー・日産・三菱自の3社による日仏自動車メーカー国際連合の枠組みは、ルノーの子会社が日産、日産の子会社が三菱自という資本構成と、ルノーの大株主が仏政府である“資本の論理”の難しさが現実にある。