ゴーン氏が107日ぶりに娑婆に出てきた。弁護人は「無罪請負人」の弘中惇一郎弁護士。しかし、ゴーン氏が仮に裁判で無罪を勝ち取ったとしても、すでに検察や「日産関係者」からのリークをバンバン報道する、メディアによる“人民裁判”で真っ黒だと認定されてしまったゴーン氏が、日本社会で名誉を回復するのは難しいだろう。(ノンフィクションライター 窪田順生)
弘中マジックで無罪になっても
「ゴーン有罪」は揺るがない!?
カルロス・ゴーン氏が108日ぶりに娑婆の空気を吸うこととなった。
今後は、ロス疑惑、厚労省郵便不正事件、陸山会事件などを担当してことごとく下馬評をひっくり返し、「無罪請負人」の異名をとる弘中惇一郎弁護士とともに、特捜部や日産に対して猛反撃をしていくと見られている。
弘中氏はゴーン氏が起訴された3つの事件について、10年以上前から日産社内で知られていたことで、常識的に考えて刑事事件になるような事件ではないとして、「無罪を取れてもおかしくない」と自信をのぞかせている。また、同様の指摘は、元検事の郷原信郎弁護士など一部法曹関係者からも出ている。
つまり、これまで幾度となく特捜部の面子を潰してきた「弘中マジック」に鑑みれば、「ゴーン無罪」がにわかに現実味を帯びてきたというわけだ。
こう聞くと、「会社を私物化して、悪事の限りを尽くしてきたのにお咎めなしなんて許せない!」と怒りで気がヘンになってしまう方も少なくないと思うが、そこは安心していただきたい。
仮に「無罪判決」が出たところで、この日本においては、ゴーン氏は死ぬまで「犯罪者」のそしりを受ける。我が国で最も支持され、最も影響力のある裁判で、「有罪」が確定しているからだ。
「え?裁判なんてやっていたっけ?」と思うかもしれないが、意識をしていないだけで、もうかれこれ100日間もぶっ続けで開廷していて、事あるごとに我々はその傍聴席に座らされている。
その裁判とは、東京地検特捜部と日産に丸乗りしたマスコミによる「人民裁判」のことだ。