ドナルド・トランプ米大統領は奇妙なタイミングで、過度なドル高を招いているとして米連邦準備制度理事会(FRB)に批判の矛先を向けた。実のところ、ドルは昨年12月につけた高値を依然下回っており、FRBも軌道修正している。トランプ氏は2日、ジェローム・パウエルFRB議長は強いドル、そしてバランスシート縮小による量的引き締め(QT)が大好きだと発言。「私は強いドルが好きだが、強すぎて他国との取引や他国からビジネスを奪うことを制限するようなドルではなく、わが国にとって望ましいドルがいい」と述べた。その上で、金利が据え置かれ、QTが打ち切られた場合に、ドルが下落する状況を想像してほしいと聴衆に呼びかけた。トランプ氏は改心者に説教しているようなものだ。市場はすでに金利は年内据え置きとの見方に変わっている。フェデラルファンド(FF)金利先物相場は、来年1月に金利が引き上げられるよりも、引き下げられる確率の方がやや高いとの見方を織り込んでいる。パウエル氏もQTは「自動操縦」モードとしてきた従来の立場を改めており、1月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、FRB当局者のほぼ全員がQTを年内に終了すべきと考えている。