僕としては、戦後最大の経済事件と言っていいくらいの事件だと考えています。“暴力団の犯罪ではない”と言われましたが、ゴーン被告がやったことは暴力団やマフィア、テロ組織など、裏社会の“専売特許”ともいえるマネーロンダリングの手法そのものです。

 サウジアラビアのハリド・ジュファリに依頼して送ってもらったスタンドバイLCという、ゴーン被告の債務弁済を保証する信用状が話題になりましたが、それを新生銀行が受けたこと自体、おかしいんです。本来スタンドバイLCなど日本の銀行はまずやらない。いや、そういうやり方があることは知識では知っていても経験がない。ノウハウ自体がないんです。

──確かに、普通の人ではできません。

 そうです。さらに問題なのは、日本にはゴーンがやったことがいかに悪質で悪辣だったかをまともに評価、認定できるメディアも専門家もいないことです。最先端の国際金融の知識と経験値がないのだから当然と言えば当然ですが。日本で今回の事件を真に理解しているのは、国際金融の舞台で暗躍する一部の経済ヤクザくらいでしょう。私がゴーン事件の本質をすぐに看破できたのも、暴力団時代にさんざんマネロンなどに関わり、国際金融の裏のカラクリを熟知していたからです。

金融リテラシーの低い日本人は
ただの“カモ”である

──経済や金融の知識がないから、当然ゴーン事件など理解できない。いわゆるインテリ層でさえそうなのだから、一般の人たちは推して知るべし、ということでしょうか。実際、今年に入ってからも大型の詐欺事件が相次いで摘発されています。

 また今年2月には、月3パーセントの利率で配当金を支払うなどと架空の投資話を持ち掛け、全国の約1万3000人から約460億円を集めていたとみられる「テキシアジャパンホールディングス」の実質的経営者が逮捕されました。この種の詐欺は昭和の時代から連綿と続いていますが、なぜ日本人はこうも懲りずにだまされるのでしょうか。