営業部に新人2人が配属されると部内の研修が始まった。ところが教育担当は新人の山田に、時間をかけて丁寧に説明しても彼は理解できない、教育担当からアドバイスしても口答えをする等々の問題に悩まされるが……。(特定社会保険労務士 石川弘子)
従業員400名ほどの事務用品を扱う商社。創業50年ほどで比較的堅実な社風。ここ数年、採用に苦戦している。
登場人物
森川真理子:20代後半の女性営業社員。成績優秀で将来のリーダー候補とされている。今年、新人教育担当となった。
山田雅彦:4月に入社した22歳の新卒男子。一人っ子で過干渉な両親に育てられたため、自分で何も決められない。また感情の起伏が少なく、無気力なところがある。
林ミカ:4月に入社した22歳の新卒女子。同期の中で唯一の女性営業職採用。あっけらかんとした性格。
川口一郎:営業課長。部下である森川の能力を買っており、今年の新人OJT担当として森川を推薦した。
教育係の森川はが
振り返る入社当時の自分
2週間の教育研修を終え、今日から新人が現場に配属される。新人教育担当となった森川は、「自分も数年前に初めて営業部に出勤した日は緊張したな…」と、当時のことを振り返る。今年は男女各1人が自分の担当になると聞いている。会社の期待に応えられるよう、また、2人のいい相談相手になれるよう力を尽くそうと森川は身の引き締まる思いだった。しばらくすると、川口課長が営業部に新人2人を連れて来た。