『週刊ダイヤモンド』4月13日号の第1特集は「統計学『超』入門」です。政府の主要な統計で次々と問題が見つかりました。いずれも、統計学の基礎知識があれば起きるはずのないミスばかりです。この失敗例を反面教師として、統計学の基本を学んでみましょう。(本記事は特集からの抜粋です)
読者の皆さん、僕の統計学の誌上講義にようこそ。皆さんは統計学と聞くと、複雑な数式を使いこなせないといけない難しい学問だと思っていませんか?
安心してください。この講義では数式を一切使いません。数式なしで学べる統計学を、ぜひ身に付けてください。
「先生、一体誰に向かって話をしてるんですか? さっそくですけど、統計学って何の役に立つのか教えてください!」
いや、これは失礼。君は確か……3年生の東家マナブくんだったね。
統計学が何の役に立つのか。いい質問だね。その問いに答える前に、最近話題になっている政府の統計不正についてちょっと考えてみよう。
今回不正が発覚した毎月勤労統計は、政府が指定する基幹統計の一つなんだ。統計法によると、基幹統計とは「全国的な政策の立案や実施上、重要な統計」「民間の意思決定や研究活動に広く利用される統計」「国際比較をする上で重要な統計」のいずれかに該当するものとされている。要するに、政府や民間、国際的観点から見て非常に重要な統計ということだね。