習近平が
投稿した論考の意味
中国共産党は『求是』という機関誌を持っている。党の中枢機関である中央委員会が主催しており、共産党が自らの正統性を死守し、強化していくために必要だと認識する政治思想やイデオロギーを宣伝するための場だといえる。
中央、地方を問わず、特に高級、中堅幹部を中心に党員たちは同誌を読みながら、時に読むことを半ば強要されながら、党指導部が現在何を考えているのか、どんな方針で党の運営を進めていこうとしているのかを察知し、自らの政治的活動を実践していく。その過程ではいわゆる“忖度”たる発想や行動も生まれるのだろう。
4月1日、『求是』に1本の論考が掲載された。作者は中央委員会総書記の習近平で、タイトルは“関于堅持発展中国特色社会主義的幾個問題(中国の特色ある社会主義を堅持し、発展させることに関するいくつかの問題)”である。
その名の通り、中国が社会主義という政治体制、イデオロギーを堅持した上で国家の発展を推進していくことがいかに重要か、なぜそれが重要なのかが論じられている。「中国民主化研究とは中国共産党研究」という立場を取る本連載にとっても、習近平の論考は極めて重要であり、必ず検証しておかなければならない類に入る素材である。
これから2回にわたって、習近平論考の意味するところを解読、検証しつつ、習近平率いる共産党指導部が今現在、そしてこれから中国をどのように、どういう方向に導こうとしているのかという問題を考えてみたい。