中国経済の成長エネルギーは
明らかに低下している
ここへ来て、中国経済の成長のエネルギーは明らかに低下している。中国国内の“灰色のサイ”※(=過剰債務問題や不動産バブルなど構造的な問題)が顕在化しており、今後、中国経済は本格的に“成長の限界”に直面することになるだろう。
リーマンショック後、中国政府はインフラ投資などによって、成長を人為的にかさ上げしてきた。その結果、中国国内では投資案件はほぼ飽和状態になっている。そのため、高い期待収益率が見込める投資案件が見当たらなくなりつつある。
つまり、投資主導の経済成長が“曲がり角”を迎えているということだ。
また、中国経済は“中進国(中所得国)の罠”に陥りつつある。2018年中国の1人当たり名目GDP(所得)は、9600ドル程度に達した。中国は、他の新興国からの追い上げに対応しつつ、技術面を中心に先進国にキャッチアップしなければならない。債務問題への懸念が高まり、成長率が徐々に低下する中、中国が1人当たりGDPを増やすことは口で言うほど容易なことではない。
景気減速を食い止めようと、昨秋以降、中国政府はインフラ投資や減税などによって経済を上向かせようと躍起だ。状況によって、中国政府はさらに景気刺激策を積み増すだろう。短期的に、景気刺激策が中国経済を上向かせることは可能だろうが、投資効率が低下する中での財政支出の拡大は、潜在的な不良債権リスクを高める。
13億人の人口を抱える大国・中国が、高成長を続けることは事実上難しい。今後、米国との貿易戦争のマイナスもあり、中国経済は難しいかじ取りが必要になるはずだ。