習近平が最も訴えたかったメッセージ
「祖国は統一しなければならない」
1月2日、習近平国家主席が1979年元旦に発表された《台湾同胞に告げる書》40周年を記念する式典で談話を発表した。習近平政権成立以来最も鮮明かつ強烈に中国共産党の台湾問題をめぐる立場や思惑が露呈されていた内容であったといえる。
本稿では、同談話の内容、それに対する台湾の蔡英文総統が行った“反論”などを検証しつつ、年明け早々中台首脳間で繰り広げられた攻防について本連載の核心的テーマである中国民主化に関連づけて考えを巡らせてみたい。
習近平が最も訴えたかったメッセージは「祖国は統一しなければならないし、必然的に統一するのだ」であろう。
習近平は中華文明・中華民族の歴史に名を残すべく、“核心的利益”である台湾問題の“解決”、すなわち中華人民共和国として最大の目標の1つである“祖国統一”を自らの任期内に実現することをもくろんでいると筆者は考える。
習近平を昔からよく知る“紅二代”(革命世代の子孫)の1人は筆者に次のように語った。
「歴史を愛し、歴史を読み、歴史にどういう名を残すかに執着する習近平は“祖国統一”という偉業を自らの後継者や将来の指導者に渡そうとはしないだろう」
習近平は憲法改正を通じて国家主席の任期を撤廃し、制度的には終身最高指導者の地位に君臨し続けることが可能となった。これによって、習近平が“祖国統一”という政治目標を自らの“任期”内で実現する可能性が高まったことは疑いない。