――南極にソニーの犬型ロボット「aibo(アイボ)」も持って行ったそうですね。

 まずは、癒やしのためですね。南極には動物、植物を持ち込むことは禁止なんです。ただ、単独で冒険するときに話し相手として、誕生日にはハッピーバースデーを歌ってもらったりとか。

 それに、ロボットと冒険をすること自体が面白いなと。他の誰もやっていないことです。あれだけエクストリームな冒険に2キログラムもあるロボットを持って行く酔狂な冒険家は僕くらいでしょう。とはいえ近い将来、ロボットと人間が一緒に冒険する時代は来るでしょうし、当然、南極でロボットが働く時代もそんなに遠くないでしょう。

次の冒険について語る阿部さん
次の冒険について語る阿部さん Photo:M.O.

――次の冒険は、人類未踏「白瀬ルート」での南極点到達を目指していますね。

 はい。100年前に同郷の白瀬中尉は、アムンセンらと南極点到達を競い合っていましたが、途中で引き返しています。その時と同じルートで南極点を目指します。人類未踏のルートで、ソリを引っ張って南極横断山脈を越えなければいけないんです。「悪魔の舞踏場」(デビルズ・ボールルーム)といわれるクレバス帯を越えなきゃいけない。

 クレバスに落ちたら一発アウトなので、事前に衛星写真などで見ておきますが、それでも難しいルートだと思います。またお金も非常にかかる。

 だから、すべての意味において、自分の人生の冒険の集大成かなと思います。冒険としても、白瀬ルートは途中で切れているんで、それを継続してやる、「夢を継ぐ冒険」というところに面白さがあるかなと思います。

――費用はどのくらいかかるのですか?

 飛行機代が最も高いのですが、合計で1億円かかります。価格交渉はしますけど、飛行機代が今回に比べたら非常に高い。

 でも、資金を集める方法は絶対にあると思っています。

――1億円を集めるためのアイデアは?

 いや、今のところはあまり…(笑)。

 でも、去年、1500万円を集めたときもそうでした。ただやるということを決めて動いただけです。本当は戦略を立ててちゃんとやる方がいいんでしょうけど。「資金を集める策は具体的には考えていない」と言うと、みんなあきれ返ります(笑)。

 でも、去年も今までもそうだったので、それは何とかなると思います。

◎阿部雅龍
あべ・まさたつ/1982年、秋田県生まれ。冒険家。秋田大学に入学するも、そのまま卒業・就職することに違和感を抱き、2005年に南米大陸単独自転車横断を敢行。その後もロッキー山脈縦走トレイル、アマゾン川手作りイカダ下り、カナダ北極圏徒歩500㎞、グリーンランド北極圏徒歩750㎞などを経て、2019年、徒歩単独で日本人未踏破ルートの南極点到達を達成。最終目標は、人類未踏ルート・白瀬ルートでの南極点到達