あなたが叱ってよいことは、事実、結果、行動、言動といった、誰が見ても評価が変わらないもの、変わりにくいものです。例えば、遅刻をするという「行動」、報告をしなかったという「結果」は叱っていいことです。

 一方で叱ってはいけないことは、人格、性格、思い込み、あるいは事実ではないことです。例えば、だらしがない、素直でない、性格が悪いといった、人によって評価が分かれるものは叱ってはダメなことです。

 ところが、私たちは叱るときに、つい「叱ってはダメなこと」を入れがちです。遅刻をした部下に対しては、「だらしがないから遅刻する」と叱ってみたり、言うことを聞いてくれない部下に対しては「素直ではない」となじってみたりするのです。

 叱られている側からすれば、人格や性格について言われることは不快でしかなく、相手の言うことを聞きたいとは思わないでしょう。また、人格や性格などを叱ることは、ひどい場合にはパワハラの6類型の1つである精神的な攻撃に該当する言動になる危険性をはらみます。

 3.人前で叱る

 叱るときは必ずフェース・トゥ・フェース、1対1で叱りましょう。まれに見せしめのためや、同じ問題点を共有するために、他の人の前でわざと叱るという人もいますが、アンガーマネジメント的にはまったくお勧めしません。

 叱られることは、誰にとっても少なからず恥を感じるものです。誰も他人の前で間違いを追及されたくないですし、また間違いを認めるのもつらいものです。他の人の前で叱られれば、恥ずかしい、辱めを受けていると感じ、この場からどうにか逃げたいということに意識が働き、叱られている内容は頭に入ってきません。そして叱る人に対しても不信感や嫌悪感を抱くことでしょう。

 4.感情をぶつける

 先に書いた通り、叱ることにおいて1番伝えなければいけないことはリクエストであり、怒りの感情ではありません。ところが、怒りを感じているときにはリクエストよりも、いかに自分が怒っているのか、自分の怒りを理解してもらおうとしてしまいます。