安藤俊介
カスハラ対策を「従業員任せ」にしている企業が、ある日突然被る“法的リスク”
顧客による理不尽な要求「カスハラ」への対策は、組織としても頭を悩ませる課題だ。しかし、厄介だからと後回しにすると、組織の生産性に大きく影響することになる。人手不足の今こそ意識すべき、カスハラ対策の重要性を専門家が指摘する。※本稿は、安藤俊介『いますぐできる!接客・サービス業のためのアンガーマネジメント』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

「誠意を見せろ!」と叫ぶカスハラ加害者が要求している「誠意」の本当の意味とは?
カスハラの被害にさらされたとき、真っ先に頼りにしたいのは上司だ。しかし、その上司が守ってくれない場合、問題を自分ひとりで抱え込まないためにどうしたらいいのか。従業員が自分の身を守るためのポイントを、アンガーマネジメントの専門家が解説する。※本稿は、安藤俊介『いますぐできる!接客・サービス業のためのアンガーマネジメント』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

理不尽なカスハラに“真摯に対応”することが企業にとってマイナスでしかない理由
「お客様は神様です」。かつて誰もが耳にしたこの言葉が、いまや理不尽なカスタマーハラスメント(カスハラ)を正当化する呪文になっていないだろうか。カスハラとクレームの本質的な違いを明らかにし、接客業に携わるすべての人が知っておくべき“境界線”について解説する。※本稿は、安藤俊介『いますぐできる!接客・サービス業のためのアンガーマネジメント』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

日本は世界的に見ても過剰ともいえるサービスを低料金で提供することが知られています。お客様、利用者様、ユーザー様、患者様、受講者様等々、サービスを受ける側に「様」をつけることが当たり前のように行われていて、その根底には「お客様は神様」というとてもゆがんだ価値観が隠れていると言えます。

お願い事をされたとき、断るわけではないけど、露骨に嫌な顔をする。話しかければにらむような鋭い視線を向ける。誰に聞かせるわけでもなく大きな舌打ちをする。セカセカ動きながらモノを乱暴に扱ってみる。こうした不機嫌アピールをする人は、一体何がしたいのでしょうか。またこういう人が職場にいたら、周りの人はどう扱えば良いのでしょうか。

最近、若い人が「論破する人」に憧れていることに非常に大きな違和感を持っています。論破できる人が議論に強い人だと大きな勘違いをしている節が見えるからです。論破する人とは議論に強い人ではなく、どちらかと言えば議論に弱い人、もしくは議論のできない人です。

世の中には怒るのが上手な人とそうでない人がいます。その差は一体どこにあるのでしょうか。その差を分けているのがたった一つのポイントなのです。その一つのポイントが押さえられていれば怒ることが上手になれます。

こんなにも怒りにまみれたオリンピックになるのは、歴史上珍しいのではないでしょうか。「コロナ禍の中で緊急事態宣言が出ているのに開催するのか」と人が怒り、開催するとなったら「開会式の演出チームの選定が不適切だ」と怒る。また、バッハ会長の宿泊代、開会式の挨拶の長さに怒ったかと思えば、手のひらを返したようにオリンピックを称賛するメディアの姿勢に怒り、アスリートの発言や態度が気に食わないとも怒る。

「仕事はできるのだけど、部下への当たりがきついのでアンガーマネジメントでどうにかしてほしい」こんなご依頼をいただくことがよくあります。中には「優秀だけど、パワハラをしてしまうのでアンガーマネジメントでどうにかしてほしい」とご依頼をいただくこともあります。こうした依頼をいただく度に非常に強い違和感を覚えていました。今、こうした大きな組織に何が起きているのでしょうか。

新年度を迎え、新入社員や異動で新しい部下と働く機会が増える時期です。昨今、パワハラを恐れて新入社員や部下を叱れない上司が増えている一方で、褒めて伸ばす教育を受けてきた若い世代は叱られ慣れていません。どのように叱れば、パワハラにならず若い世代に伝えられるのでしょうか。日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介氏に寄稿してもらいました。
