ネットの発達により、商品や作品へのレビューがユーザーに与える影響力はますます強くなっている。そんな中、気になるのが「サクラ」の存在。Amazonや食べログでのサクラレビューは有名だが、最近は映画のレビューにもサクラが目立っているという。最新の映画レビューのステマ、サクラの実態についてITジャーナリストの三上洋氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)
星5の最高評価だらけ!
レビューサイトに跋扈する"サクラ“
昨今、ネットのレビューの影響力は大きくなっている。マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングは、昨年10月全国47都道府県に在住する18歳~69歳の男女5867人を対象に、「オンライン上の口コミ利用に関する実態調査」を実施。その結果75.9%が口コミを見ているという事実が判明した。
しかし、ネットに付きものなのが“サクラ”の存在。近年、サクラレビューは映画の口コミサイトにまで及んでいるという。
「映画のサクラ、ステマレビューが始まった時期は正確にはわかりません。ただ、世の中に広く知れ渡ったのは2017年12月に公開された実写版『鋼の錬金術師』からだと思います。明らかに日本語のおかしいレビューと軒並み最高評価の『星5』が並び、誰が見ても怪しいレビューが多数掲載されました」(三上氏、以下同)
Yahoo!映画の「鋼の錬金術師」のレビューには「素敵映画最高映画よろしい!」といったちぐはぐな日本語と「星5」が並び、同サイトでの平均点は4という高評価に。
ところがほかの映画口コミサイト「Filmarks」「映画.com」などでは平均2.5前後と評価が乖離していた。こうした状況から“サクラ”の存在が指摘されるようになったという。
「サクラレビューは、『Yahoo!映画』や、『ぴあ映画生活』に多い印象です。はっきりとした理由はわかりませんが、映画館のアプリとひも付けられていたり、口コミが比較的長文で詳しいものが多く玄人向けであるなど、観客への影響が大きいことから、これらの映画サイトにステマが多いのかもしれません」
ぴあ映画生活では、2015年公開のとある韓国映画のステマぶりも話題となった。上映初日からレビュワーの評価がすべて星5で、三上氏も「明らかなサクラレビュー」と語るほど。同サイトは新作でも比較的、高評価のレビューが並ぶことが多いという。