テキサス州ミッドランドの油田Photo:Reuters

 産油業界の二大勢力が主導権争いをしている。一方は急成長する米国のシェールオイル生産者、もう一方は石油輸出国機構(OPEC)だ。投資家はどちらの支配力が強まるかを見極めようとしている。

 原油価格は年初来高値に近い水準にある。減産という手段を行使したOPECが今は優位に立つ印象があるかもしれない。だが米シェールオイル生産者は5年前に比べて生産量を倍増させており、今年さらに供給を拡大すれば、市場で再び原油がだぶつく状況になりかねない。

 HSBCの石油ガス調査部門責任者、ゴードン・グレー氏はOPECと米生産業者のこうした攻防を「タグ・オブ・ウォー(綱引き)」と呼ぶ。

 OPECの狙いは、在庫積み増しを防ぎ、価格をより高水準に保つことによって、産油国の政府予算のバランスを図ることだ。OPECとその同盟国(ロシアを含む)は1月から合計日量120万バレルを減産することで合意。期間を6カ月とした。これを受け、原油価格は今年に入って約30%上昇し、1バレル70ドルを突破した。OPECが6月の次回会合で減産期間を延長するかどうかは不透明だ。

 だがシェールを度外視すべきではない。米国では今年、油田と石油積み出し港を結ぶ新たなパイプラインが3カ所に開設される予定で、原油出荷量は年後半に急増する見通しだ。シェールオイルは他の生産手段よりも迅速な生産量切り替えが可能なため、OPECが市場への影響力を維持するのはますます難しくなっている。

 「世界の大多数の石油生産に比べ、(シェールは)サイクルがはるかに短く、価格に素早く対応できる。それに今や世界供給量の10%以上を占める」。グレー氏はこう指摘する。