一矢報いたいなら
未払い賃金を取り戻す

 どうせ辞めるのだからと、会社の不法行為の証拠をネットでばらまくなど報復を考える人がいるが、こうした行動はやめておいたほうがいいという。

「脅迫と取られる場合があり、揉め事に発展する可能性があります。憎い相手に退社後もわずらわされては、自分の一生を台無しにしてしまいます。一矢報いたいなら、お金を取り返す方が得策です」(住川氏)

 有給取得と同様、残業代などの未払い賃金があれば、払ってもらう権利がある。

 ところで、実際にひとりでブラック企業を相手に、退職から未払い賃金の請求に至る一連のやり取りを行おうとしても、無視されたり、嫌がらせにあったり、抵抗されることは想像に難くない。こうした場合はやはり、労働問題に詳しい弁護士に相談するのが最も現実的だ。

 弁護士が登場すれば、たいていの場合、訴訟になる手前の交渉や「労働審判」で決着するという。かかっても数ヵ月で問題は解決する。最近は「着手金ゼロ」「成果報酬」等をかかげる弁護士もいる。料金に不安があれば確認してみるとよい。

 息子、娘がブラック企業に取り込まれたとしても、相手を恐れることはない。正当な権利を粛々と行使し、速やかに次のステージを目指せばいい。親としてできるのは、そのための手助けを行うことだ。