同じようなことは、クリエイティブなどの人気業界でも起こりやすい。一刻も早くスキルを身に付け、あの先輩のようになりたい。自分を修業中の身と考え、耐えなければと思い込む。残業が当たり前の職場ならば、ひとりだけ帰るなどもってのほか……新人はこうして取り込まれていく。

「経営者が志望者の心理をよく理解していて、そこにつけこんでいると思われるケースもあります。長時間労働はあくまで本人の意思であるとして、問題を会社から切り離す。大量に採って競争させ、使える人材だけ残ればいいという“歩留まり”の発想で採用を行う」(住川氏)

 有名企業・人気企業にもブラック職場が生まれるのは、構造的な問題といえる。

 ブラック企業によく見られる特徴は別表のとおりだ(表1)。息子 娘に自覚がなかったとしても、親として思い当たる事項があれば、よく話し合ってみたほうがいい。心や身体が蝕まれて初めて、勤務先がブラック職場だったと本人も周囲も気づく、そんな例が後を絶たない。