謎の蕁麻疹で皮膚科を受診
症状はどんどん悪化していった
「うわっ、何これ。気持ち悪い」
3年ほど前のある夜、亜季さん(仮名・41歳)はバスルームで小さな悲鳴を上げた。二の腕から手の甲にかけて赤い虫刺されのような斑点ができている。指の腹にも。しかも猛烈にかゆい。チクチクととげに刺されるような痛みもある。バリバリとかくとミミズ腫れができて、さらに気味悪さが増した。
(これ以上かくのは危険かも)
そう考え、慌てて入浴を切り上げて、たちの悪い虫刺されや蕁麻疹(じんましん)にも効くという液状のかゆみ止めを塗りまくった。かゆみはいったん収まったが、深夜に再発。塗り薬のおかげでなんとか眠ることはできたものの心配になり、翌日急いで近所の皮膚科を受診した。
ただ、赤い斑点は明け方には消えており、皮膚科を受診した際にはミミズ腫れの痕もない。どんなふうだったかを説明すると医師は言った。
「アレルギー反応を抑えてかゆみを止める抗ヒスタミン剤を1週間分処方しますから、症状が出たら服用してください」
蕁麻疹はその夜も、次の夜も風呂に入るたびに出現した。処方された薬を飲むと治まるので、とりあえず安心して毎夜薬を飲み、1週間後に皮膚科を再診。亜季さんの話を聞いた医師は、淡々と言った。
「これは、慢性蕁麻疹かもしれませんね。通常、1ヵ月以上蕁麻疹が続いた場合に慢性と診断するんですが、恐らくそうでしょう。これ、治らないんですよ。
原因はね、検査をしても大抵分かりません。なので、症状が出たときにかゆみを止める、対症療法になります」