対北融和姿勢が
米朝会談の物別れの一因

 過去2年間の中で、文在寅大統領、韓国国民ともに一番失望したのが北朝鮮との関係だろう。文政権としては、米朝首脳会談を成功させ、これをきっかけに北朝鮮への経済協力に乗り出す腹積もりであった。しかし、2月末のベトナムにおける米朝首脳会談は物別れに終わった。

 韓国は米朝双方から、これまでの役割を否定されている。北朝鮮は4月27日の南北首脳会談1周年記念に姿を見せなかった。加えて、北朝鮮は、文氏は米朝の仲介役ではなく米国の同盟者であると反発した。文氏は米韓首脳会談の単独会談が実質2分に終わり、米国からも仲介者としての役割を事実上否定されている。それはこれまで韓国が米朝対話を促すため、聞き心地の良いことを言い、双方をミスリードしてきたからであろう。

 これまで文政権の最大の“売り”は北朝鮮との関係改善によって、南北の緊張緩和を図ってきたことである。しかし、韓国が実際にやったことは、一方的な北朝鮮に対する軍事力の削減である。昨年の南北首脳会談の際の軍事合意で、38度線付近での偵察飛行と合同軍事演習の中止は、韓国軍の作戦能力を一方的に低下させるであろう。また、最近では軍事装備の強化をおろそかにしつつ、米韓連合軍の指揮権を韓国に返還させる動きを示している。

 国の安全保障を維持強化するのは大統領の責務である。それをおろそかにし、北朝鮮との接近を図ることは韓国の安全を脅かすもとになりかねない。

文大統領が進める積弊清算は
就任演説になかった

 大統領の最も重要な任務は、国民の融和を図り、国民の団結をもたらすことである。しかし、文大統領は北朝鮮との融和に熱心であるが、国民の融和に対する関心がないのではないか。

 大統領は2日、各方面の有識者を招いた懇談会で、「ある方たちから、もう積弊清算はやめて、統合に向かって進むべきだとよく言われる」とした上で、「生きて動く捜査に対し政府は統制できないし、また統制すべきでもない」と述べた。積弊精算とは、朴槿恵前政権が行った政策を正し、精算するという意味だ。朴槿恵前政権の不正疑惑の捜査もこれに当たる。