(2)中国のeSports

 中国のeSportsは、自国企業のリーダシップによって発展してきました。TencentとAlibaba、この2つの企業の貢献度が大きいと考えています。

 元々ゲーム企業ではなかったTencentは、当時米国企業のRiot Gamesのヒット作「リーグ・オブ・レジェンド」の中国国内での販売権を取得し、Game Distributionビジネスからゲーム市場に参入しました。数年後にはRiot Games自体を買収し、現在Tencentは、グローバルヒット作のゲームパブリッシャーの位置づけになりました。

 一方のAlibabaは、ゲームビジネスに直接は参入していませんが、大規模なeSports大会やイベントへ投資をし、eSportsのスポーツ化に影響力を発揮しました。現在はeSportsの五輪と呼ばれるWESG(World Electronic Sports Games)の主催を毎年行っています。さらに、Alibabaの本社がある中国の杭州で行なわれる2022年アジア競技大会(Asian Games)からeSportsが正式なメダル種目になったことに、Alibabaが貢献した部分が多いと考えられます。

(3)米国のeSports

 スポーツビジネス市場規模1位の米国では、やはりスポーツ業界と連携したeSports活動が盛んです、

 リアルプロスポーツリーグと並行してeSportsリーグを運営し、プロスポーツチームがeSports部門を運営している例が増えています。例えば、プロバスケットボールではNBA 2K League、プロアメフトではNFL MaddenというeSportsリーグを立ち上げており、NFLスーパーボールが行なわれる時期に合わせてNFL Maddenの決勝戦を開催しています。こうしたプロスポーツ球団と連携した活動は欧州でもよく行われており、例えばイギリスのプレミアリーグ、スペインのラ・リーガ、ドイツのブンデスリーガなど欧州の主要サッカーリーグは、既に「FIFAシリーズ」というサッカーゲームのプロチームを運営しています。

 また、見るコンテンツとしても需要があり、プロスポーツ専用チャンネルESPNでもeSports番組が放送されています。

 もう一つの特徴としては、コンテンツ力がしっかりしたゲームパブリッシャーが多いことです。Blizzard(スタークラフトシリーズ・Overwatch)、Valve Corporation(Dota2・Counter Strike)、EA Sports(FIFA・NBA2K・MaddenNFL19)、中国のTencentの子会社になったRiot Games(リーグ・オブ・レジェンド)など、eSports市場で波及力のあるコンテンツは米国企業が手掛けたものです。

 さらに、ゲームプラットフォームにも積極的なビジネス活動をしており、オンライン配信ではAmazonのTwitchが世界eSportsストリーミング市場の50%以上を占有していて、今年のGame Developer ConferenceではGoogleがクラウドゲーミングプラットフォームのStadiaを発表しました。

 今回は、eSportsにおける日本の課題とeSports先進国の歴史と現状を比較しました。これから日本のeSportsがどのように発展するのが正しいのかについてはさらなる議論が必要ですが、他国での実績は参考になると考えています。次回は、日本eSports産業に必要なリスク管理・ガバナンスサービスについて解説します。