「それにな、いっちゃん。オレは、場合によっては、人の子でもな、『叩いて叱ること』をするんやて」
「はい」

「それはな、その子どもが自分の息子みたいにかわいいからやし、叩いた結果にオレは完~全に責任を持つからなんや」
「はい…」
そして、兄貴は、「カップラーメン」をとんでもない勢いで食べ終わると、「うま……ザ・塩分が炸裂や、これがうまいんや。なにしろ、オレ、『カップラーメンの狼(おおかみ)』やからな」と言うと、バフーっと、白い煙を、口の周りにはき出した。

「『アホ、コラ!なにしとんねん、このチンピラ』と言うてな、そいつの親の前でも叱って叩くがな。それができるのはな、『いっぱしの男にしてやる』という責任を持っているからやし、その子どもが本当に大切やからやし、オレが『大人げなくて、童心を持っている』からなんや」
「はい、兄貴」
兄貴は、火のついたタバコを指ではさみながら、片目を閉じて、こう言った。

「それにな、いっちゃん。どうしてみんなが、他人の子どもを叱ったり叩いたりできないか、わかるかや?」
「どうしてでしょう、兄貴」

 兄貴の目がギラリと光った。

「実はな、みんな『暴力反対』だから、人の子どもを叱ったり叩いたりできないのではなくてな、『余計な責任を持ちたくない』から、人の子供を叱ったり叩いたりできないんやて。ほんまは、人の子供だから『自分には関係ない』と思うとるんや。『相手を自分ごとのように大切にする心(=つながり・ご縁・絆)』を失ってしまっているんや。せやから、その心を、取り戻さなアカン」
「なるほど」

「オレやったら、叱るし、叩くけどな、そら、いかようにも、どないなようにも、バコーンと責任とるがな。そら、完全に責任とるよ。ガハハハハッ!」

「せやからな、いっちゃん」
「はい、兄貴」

 兄貴の目が、グワッと光った。

「自分の『童心』を取り戻すんやて。それがな、今の自分を変える、ごっつい起爆剤やねんて」

 兄貴は、「あ~これ、完全にさわやかMAXやな」と言うと、ニッと笑った。

 よし、日本に帰ったら、自分の「童心」を思い出してみよう。僕が、「自分が、一番、輝いていたとき」「自分が、一番、自然に楽しかったとき」は、いつだっただろう。
そうだ、それは、「小学校3~4年生のとき」だ。
親にも、先生にも、友人にも、ほとんど縛られずに「一番、自分らしい自分」でいれたときだ。

 そういえば、そのとき、僕は、友人たちから「いっちゃん」という、「あだな」で呼ばれていた。僕が、『童心』を取り戻して、好奇心いっぱいで、目をキラキラ輝かせて、自由に楽しく行動するためには、もしかしたら…

「小学校3~4年生の、いっちゃんだった頃の自分に戻ること」

から、はじまるのかもしれない。

『本当の自分を取り戻す』ために。

 そう、思っただけで、自分の中から、「強烈なパワー」がわいてくるのを感じた。自分が肯定されて、自分が解放されていくような感覚がわいてきて、毛穴がゾクゾクする。

あの頃の、「『いっちゃん』だった自分に戻る」か…。

 体の中に、ザワめく感じが走るのがわかる。「あの頃の、『いっちゃん』だった自分に戻る」、「本当の自分を取り戻す」という言葉が、自分の心の奥底に、大きな衝撃と、安堵感を与えているからだろう。

 兄貴は、鼻からモクモクと白煙をあげながら、「いっちゃん、これな、完~全に間違いないで」と言うと、ニッと笑った。

【兄貴の教え 3】自分の「童心」を取り戻せ
 

(【第4話】「会う」につづく)

※次回配信予定は6月28日(木)です。


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