中国の人口・経済格差を一気に解消する、水資源開発プロジェクトの全貌
中国のへそ・西安を起点に国土を西北ブロックと東南ブロックに分けて考えると、その人口格差は実に四十数倍にもなる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

西北部と東南部で人口密度に
四十数倍もの差がある中国

 十数年ぶりに陝西省西安市に行ってきた。

 これまで数回訪問したことがあるが、訪問先はほとんど観光地や市内だったので、近くにある秦嶺まで足を延ばすことができなかった。今回はキウイフルーツの産地である周至県に行くとき、ようやく念願の秦嶺に近づいた。

 陝西省の標高は南部と北部が高く、中部が低い。黄河流域と長江流域の分水嶺で、南方と北方の境目でもある秦嶺、喬山が省の東西を走り、同省はそれによって陝北、関中、陝南の3大自然区に分かれている。

 秦嶺の中段は終南山(略して南山)ともいう。古代詩人陶淵明の名句に「采菊東籬下、悠然見南山」というのがある。当時、陶淵明が廬山に住んでいたから、詩に出てきた南山は物理的には廬山を指すが、精神的にはこの秦嶺の一部を成す終南山のことを詠んでいるのではないか、という説がある。

 広義では、秦嶺をも意味する終南山は中国の文化人の精神構造に大きな重みをもつ存在だ。だから、山に登る時間的余裕がなくても、私は何度も車を止めて、道路の横から伸びていく小道の向こうにそびえ立つ終南山の峰々を貪るように撮影した。

 感覚的には遠い西北部に飛んできたかのように思うが、実際、西安はちょうど中国全域のへその部位に当たる。北の黒龍江省の黒河から南の雲南省の騰沖まで直線を引いて、中国の国土を西北ブロックと東南ブロックに二分化し、中国の国情を見る方法がある。

 現代中国における人文地理学と自然地理学の創立者とされている地理学者・胡煥庸氏が1935年に考案した分析方法だ。そのラインも後に「胡煥庸線」(英語: Hu Line)と名付けられた。

 それによると、1935年当時、東南ブロックの国土面積が中国全国の36%しか占めていないのに、人口は96%にも達している。一方、西北ブロックの面積は64%も占めているのに、人口はわずか4%しかいない。人口密度においては、四十数倍もの差が存在していた。