いい意味でポンコツさを醸し出すようになった岡村隆史さんギラギラしたエネルギーと張り詰めた緊張感をまとっていた岡村隆史は休養後、“ポンコツ”さと、ゆるい空気を醸し出す存在に変わっていった Photo:JIJI

『めちゃイケ』終了から3月でおよそ1年。1つの冠番組を終えた岡村隆史だが、以前よりイキイキしているように見えるのはなぜか。その秘密を『素顔の岡村隆史』を上梓したばかりの養成所時代の恩師・本多正識氏に聞いた。(清談社 藤野ゆり)

“ポンコツ”化した
岡村の魅力

 最近、岡村隆史がイキイキして見える。そう感じているのは筆者だけだろうか。

 昨年末のNHK紅白歌合戦で見せた「チコちゃん」との絡み。その一瞬の幕間にけん玉を成功させるスター性は健在だが、休養以降、特にここ最近の岡村はすっかり肩の力が抜け、現場の雰囲気を本気で楽しんでいるように映る。めちゃイケで長年、気を張り、時には体を張って出演者たちを先導してきたエネルギッシュさとも違う、いい意味のポンコツさと、ゆるい空気をまとうようになっているのだ。

 その証拠に、岡村隆史のこれまでの歩みや魅力に迫った『素顔の岡村隆史』(ヨシモトブックス)の中では、岡村自身が「ポンコツになってよかった」と、休養後の自身について語る一節も登場する。15時間にも及ぶ岡村との対談によって、今の岡村に迫った『素顔の岡村隆史』の著者、漫才作家の本多正識氏は「岡村くんには、ポンコツの伸びしろがある」と話す。

「20年以上にわたって演じていた“岡村隆史”が、すぐに100%の“人間・岡村隆史”を出せているわけはないと思いますから、今後、さらにありのままの岡村くんの魅力が出てくるのではないかと期待しています」

 本多氏はよしもとクリエイティブエージェンシーの芸人養成所「NSC」の講師として岡村を指導した、いわば恩師。とはいえ、出会った当初の岡村隆史は“ポンコツ”とはほど遠い、ギラギラした光を放つ存在として、本多氏の前に現れたという。