先に行われた欧州議会選の結果を受けて、欧州連合(EU)が再び不安定な状況に陥る恐れが出ている。一部の国では、前倒しで総選挙が実施される見通しとなったほか、イタリアやドイツの連立政権は亀裂が深まっている。各国の最終結果が徐々に明らかになった27日、EU本部があるブリュッセルでは、EU懐疑派の幅広い躍進は免れたことで安堵(あんど)感が広がった。緑の党がとりわけ票を伸ばし、親EU派が明確な過半数を形成する見込みとなった。とはいえ、EUからの離脱予定の英国を含む多くの国で、有権者が引き続き幻滅し、分裂している現状が浮き彫りとなった。欧州外交評議会(ECFR)の創設理事、マーク・レナード氏は「有権者は変化を切望しており、現状維持の既存政党ではなく、新たな反体制派勢力を支持する傾向があるため、不安定な状況になる」と指摘する。