「こもりむしの会」の風景

 A子さんによると、行政に家族として呼ばれても、「聞かれたことだけ答えてくださいという感じ」だそうで、形として家族の意見を聞いているということだったのだろうと話す。そんなことから、2017年9月から「ひきこもりに関する悩みを持つ人の交流会」をスタートさせた。

「2年あまりにわたって、行政の会議に出ても相談に行っても、聞くだけで、結局、何も変わらなかった。それなら自分で動くほうが早いなと思って、私たち家族が吐き出せる場をつくりだしたんです。妹だけではなく同じように、自分を必要としてくれる人がいることを知ってほしかったし、当事者の方の参加も増えればと思って……」

 交流会は毎月2回、公共施設を借りて開催してきた。交流会ではほぼテーマはなく、みんなが思い思いのことをしゃべる。毎回、親の立場だけでなく、引きこもる当事者の参加者も多く、ほぼ半々くらいの割合で、双方が自分の家族に直接言えないことを相談し、客観的にアドバイスを聞ける“疑似親子”のようなトークが繰り広げられる。

「来ない」と決めつけたら
行く場所がなくなってしまう

 他にも、2月から専門家による出張カウンセリング、4月から講座を月に1回それぞれ公共施設などで開いている。講座のテーマは、「ホームページ」「チラシ」「ラインスタンプ」などをつくる実践編で、今までになかったような内容で収入も得られることを目指している。

「『引きこもりに悩む人の会をしてます』と話すと、大抵の方からは決まって「引きこもってる方が来るんですか?」と言われる。でも「来ない」と最初に決めてしまったら、来たいと思ってる人の行く場所がなくなってしまう。来ないかもしれないけれど、長く続けていれば、いつか自分が行く場所があるって信じて、情報をオープンにしながら待つことだと思っています」(A子さん)

 そんな姉の立場でもある岡本さんの人柄もあって、毎回、数多くの家族や引きこもり当事者らの出会いの場をつくり出している。筆者が訪れた5月25日の会にも、約30人の参加者が集まった。