テレサ・スミスさんは間近に迫った自身の離婚を秘密にしておきたかった。しかし、モバイル決済サービスの米スクエアが友人に秘密をもらしてしまった。ワシントン郊外に住む馬の調教師であるスミスさんは2016年の終わり頃、離婚を扱う地元の弁護士に依頼料を支払った。翌日、友人の一人がこの支払いの詳細を記した電子メールをスミスさんに転送してくれた。弁護士がスミスさんのクレジットカードをスクエアの決済端末に通したあと、自動的に作成されたレシートが友人のメール受信箱に届いたのだ。「これならフェイスブックに投稿するかニューヨーク・タイムズに1面広告を出したほうがましだった」とスミスさんは話す。スクエアは、何百万もの小規模事業者に利用された何億枚ものクレジットカードやデビットカードでの購買行動について何年分ものデータにアクセスできる。このため、利用者の支払いパターンを把握する能力は他のハイテク企業の追随を許さない。購買者が電子レシートを受け取るためにスクエアに提供する連絡先の詳細を支払いデータと組み合わせることで、同社は消費者行動に関する膨大なデータを集積し、それを顧客である小規模事業者の販促活動などに活用できる。