一歩動くことで、今の会社の良さに気づくこともある

 じつは、動くメリットは意外なところにもあります。

 それが、「今の会社の良さに気づくかもしれない」ということです。

 ベンチャーのお手伝いなどをしたら、常に人手不足、資金不足で、その大変さを目の当たりにして、今の会社がいかに恵まれていたかを実感できる人もいるはずです。憧れていた起業のリアルを体感することで、相対的に、今の会社の良さがクローズアップされるわけです。

 成果報酬型でない会社に勤めている人は、結果が出ようが出まいが、毎月お給料が振り込まれますが、それが決して「当たり前」ではないことに気づく人もいるでしょう。ここに気づくだけでも、儲けものです。

 今の会社の良さが分かったら、仕事に対する姿勢も、今までとは変わるはずです。

 会社や社内の人間関係の文句や愚痴を言っている人の多くが、組織から一歩も出ていなかったりします。ありがたみが分からないのです。

 いったん会社の外に出て様々な景色を見比べることは、会社に残るにせよ、残らないにせよ、良い作用を及ぼすことは間違いないです。

 【六歩目】 一歩外に出てみると、内の良さが分かったりもする。

守屋 実(もりや・みのる)
1969年生まれ。明治学院大学卒。1992年にミスミ(現ミスミグループ本社)に入社後、新市場開発室で新規事業の開発に従事。メディカル、フード、オフィスの3分野への参入を提案後、自らは、メディカル事業の立上げに従事。2002年に新規事業の専門会社、エムアウトをミスミ創業オーナーの田口弘氏とともに創業、複数の事業の立上げおよび売却を実施。2010年に守屋実事務所を設立。設立前および設立間もないベンチャーを主な対象に、新規事業創出の専門家として活動。自ら投資を実行、役員に就任、事業責任を負うスタイルを基本とする。2018年4月に介護業界に特化したマッチングプラットホームのブティックスを、5月に印刷・物流・広告のシェアリングプラットホームのラクスルを2社連続で上場に導く。