部下に「自由」を与えると残念な結果に終わる理由

有名なIT企業やベンチャー企業の経営者には、「自由な発想」や「自由な服装」など、社員の「自由」を大切にする気風がある。一般の民間企業でも、職場で上司がなるべく部下の「自由さ」を大切にして、個性を生かそうという傾向が強くなっているが、しばしば上司と部下の間で「認識の違い」が生じる。その原因や解決方法などを解説しよう。(株式会社識学代表取締役社長、組織コンサルタント 安藤広大)

「自由、自由」という会社には
不満を抱える社員が後を絶たない

「自由にアイデア出せって言っているくせに、最後は上司に止められるんだよ。絶対、俺のアイデアの方がうまくいくのにさ」

「服装自由だからって言ってたのに、結構注意されるんですよ。『お客様のところに行くのにその服装はないだろうって』。よくわかんないですよね。」

 ベンチャー企業で働く友人、後輩から聞いた言葉です。

 この「自由」という言葉は本当に恐ろしいと、最近、つくづく思います。

「自分の意のままに振る舞うことができること。また、そのさま」(デジタル大辞泉)。これが、辞書に書いてある「自由」の意味です。

 目的を持って集まった集団、特に企業のように営利を目的としている集団で、本当に「自由」であるということは絶対にありえません。当たり前ではありますが、それぞれが「自分の意のまま」に動くということは、「集団の目的」に近づく行為や判断を選択しなくてもいいことになるからです。