プロッソ社長 牛久保 潔 |
景気の好転で、拡大の一途をたどる中途採用市場。人材紹介会社には、軒並みバブル期を超える過去最高の依頼が殺到している。そんな売り手市場で、企業が「欲しい人材を、欲しいときに、思いどおりのコストで採用する」のは至難の業だ。
牛久保潔は、その“難しさ”に、商機を見出した。きっかけは、1999年から2年間、日本オラクルの採用責任者を務めたことだった。同等クラスの人材を採用する場合に、同業他社が自分たちより2~4倍も多くの採用コストをかけていると知った。
たとえば、どのような採用ソースを組み合わせるかで、コストは大きく左右される。求人広告の掲載は新聞・雑誌にするか、インターネットサイトにするか。紹介会社に依頼するか、再雇用を募るか、社員・知人の紹介を頼るか。アプローチの手法によって、効果にも雲泥の差が生じるのだ。
また、必要な人数は確保できても、採用企業の仕事と応募者の希望に乖離があり離職率が高まれば、結果的にコストがかさんでしまう。IT業界でいえば、1人平均200万~250万円といわれる採用コストの振れ幅は大きい。
採用に“王道”といえる戦略はあるのか。興味を持って書店を探したものの、見つからなかった。だがニーズはきっとあるはずだ、と中途採用のコンサルティングを事業にすることを思いついた。
1年目は受注ゼロ
転機となったIT社長との出会い
2003年10月に、プロッソを設立。資本金1200万円は貯金をはたいた。社名はラテン語で「成功」と「夢」を意味する2語を組み合わせた造語だ。