まず、満員電車が好きな人はほとんどいないので、この問いはかなり不自然です。こういった「ちょっとズレた問いかけ」は、軽い笑いを取ることができます。

 満員電車に乗って出勤すると、たいていの人は疲労やストレスを感じています。「満員電車に乗ると疲れますよね」「夏場に知らない人と密着する状態は大きなストレスになりますよね」と説明するのは、ごく当たり前の表現です。これを「満員電車が好きな人はいますか?」と少しひねることによって、若干の皮肉がこもったユーモアに変換できます。

 話の流れは全く変わらず、クスッと笑う程度の話を差し込むことで緊張感を和らげて、その後に続くプレゼンに再度集中する準備をしてもらうことができます。

笑いが取れなかったとき
「笑いのカツアゲ」をしていないか

 もちろん、面白い話を入れたつもりでも、まったく反応がない場合もあります。上記の問いかけはよくしていますが、会場が無反応なケースも1割程度あります。

 そこで、プレゼンをする側の心構えとして大事なのは、「笑ってもらう」ことではなく「緊張をほぐす瞬間を作る」ことが目的だと理解しておくことです。

 笑いが起きなくても、笑うまで繰り返しあの手この手で冗談を言う必要はありません。ましてや、「今のは笑うところです」なんて言うのは愚の骨頂です。これを「笑いのカツアゲ」と教えてくださった方がいます。「株式会社俺」の社長である中北朋宏さんが、その人です。

 中北さんはもともと芸人を目指していて、実際に芸能事務所に入って活動されていました。お笑い芸人としては残念ながら成功できませんでしたが、その後、持ち前のユーモアセンスを生かしてセールスで大活躍。今では独立して「笑い」をテーマに企業研修などを行っています。

 中北さん曰く、「笑いにはメカニズムがある」とのことで、そのメカニズムを知ることによって相手を笑わせる、それも無理することなく笑いを誘って場の雰囲気を良くできるそうです。

 笑いが起きるとその場の空気が和らいで、居心地が良くなります。人は誰かと共有している空間が快適であればあるほど、パフォーマンスを発揮できます。プレゼンテーションを聞いているときも、居心地が良ければ理解度が高くなったり共感しやすくなったりします。そのためにも、笑いはとても大事です。