同族経営「同族経営」で注意すべき点とは? Photo:PIXTA

大企業でも珍しくない「同族経営」
トラブルを避けるために気をつけたいこと

小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 中小企業の場合、一族でほとんどの株式を持ち、父親が社長、息子が専務というように親族で経営する、いわゆる「同族経営」の形態が多くあります。こうした同族経営、同族企業に対しては、「身内以外は出世しづらいのではないか」「一族の独断で経営方針が決まってしまうのではないか」という懸念もあり、イメージは必ずしも良いとはいえません。しかし、日本で活動中の企業約266万社(単体法人)のうち、同族企業の割合は96.3%と高く、資本金1億円を超える企業でもほぼ半分が同族によって経営されています(※)。同族経営自体は、決して珍しいことではありませんし、必ずしも悪いというものでもありません。

 ただ、気をつけなければいけないのは、オーナー経営も含めて、経営者が公私混同・私利私欲に走ったり、親族を特別に厚遇したりするようになると、社員が働かなくなるということです。これは同族であるかどうかにかかわらず、当たり前のことですが、とりわけ同族経営では「公私」の境目が見えづらくなる傾向があります。さらに中小企業は、大企業に比べて外部の目が届きにくい分、経営者が矜持(きょうじ)を持って経営に臨まないと、歯止めがかからなくなってしまうことも少なくありません。