香港で12日の大規模デモに参加した人々は、警官隊による催涙ガスの発射にどう対応すればいいのかを知っていた。煙に巻かれて焼けつくような痛みに苦しむ仲間の目を洗うため、準備してあった何百本もの塩化ナトリウム溶液入りボトルがデモ参加者の間に配られた。作業用ヘルメットや鉄柵を固定するためのビニールひも、肌を守るための食品ラップ、催涙スプレーから守る傘やマスクなどの道具は分類し、デモ会場の近くに山積みにされた。ジョイス・ラムさん(27)は「催涙スプレーをまかれることは分かっていた」と語った。これは5年前に香港を揺るがせた大規模デモに参加した際、警官隊とのにらみ合いで学んだことだ。ここ一週間続いているデモには、2014年の民主化デモ「雨傘運動」の影がつきまとう。雨傘運動では、行政長官の選挙導入を求めて、何千人もの人々が79日間にわたって香港中心部で野営した。