――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」***5月の中国経済統計は、それ以前に発表された貿易と企業に関する統計と同様に、今年に入り見通しの上向いたかに見えた同国経済が大きく後退しかねないことを確かめる内容だった。一段の金融・財政支援が避けられない情勢だ。今年初めの成長データは大型減税などの特別要因に大きくゆがめられ、経済を実態より好調に見せた。この点を考慮しても、14日発表された5月の数字は一段の景気鈍化を指し示した。最悪なのは、当局が5月末に小規模金融機関を突然、管理下に収めた中国金融市場の騒動が与信の伸びに及ぼした影響が表れるのが早くても来月の数字になることだ。14日発表の経済指標で最も懸念されるのは重工業に関するシグナルだ。今年は輸出と労働市場の低迷を背景に、不動産と建設が経済を支える屋台骨の役目を果たしてきた。だがここへ来て住宅投資と、粗鋼、ガラス、電気、非鉄金属といった主な建材の生産が軒並み鈍化している。