「企画プレゼンが通らない」「営業先の反応が弱い」「プレゼン資料の作成に時間がかかる…」など、プレゼンに関する悩みは尽きません。そんなビジネスパーソンの悩みに応えて、累計21万部を突破した『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』シリーズの最新刊『プレゼン資料のデザイン図鑑』が発売になりました。この連載では、同書のコンテンツを紹介しながら、著者・前田鎌利氏がソフトバンク在籍時に孫正義社長から何度も「一発OK」を勝ち取り、ソフトバンク、ヤフーをはじめ約600社に採用された「最強のプレゼン資料作成術」のエッセンスをお伝えします。
一流のプレゼン資料は、情報を「隠して」から「見せる」

 早速ですが、この約30秒の動画をご覧ください(お急ぎの方は、この動画だけご覧いただいてもポイントを把握いただけます)。

 いかがでしょうか?

 改めて、ビフォー・スライドを見てみましょう。

一流のプレゼン資料は、情報を「隠して」から「見せる」

 このスライドは、マーケティング初心者に「7つの極意」を列挙したものですが、これを見せられながら「7つの極意」を一つひとつ説明されたとしたら、聞き手はどう思うでしょうか?

 スピーカーの話を聞くよりも、自分で7つ全部を読んでしまうのではないでしょうか? しかも、”ネタバレ”していますから、面白みも感じられませんよね? つまり、多くの聞き手は、このプレゼンに集中してくれないのです。

 そもそも、プレゼンで一度に多くのことを説明するのはNG。相手の記憶に残そうとすれば、一度に提示する情報は3つが限界です。にもかかわらず、「7つの極意」をダラダラと説明したら、相手にとっては何一つ印象に残らないプレゼンになりかねません。

 では、どうすればいいか? 

 順にご説明します。

 まず、下図のように、「7つの極意」の文字数をカットします。プレゼンはできるだけ文字数を減らすことが鉄則。文字数を減らすことで瞬間的に意味を把握しやすくなるうえに、フォント・サイズも大きくできるので視認性が高まるからです。

一流のプレゼン資料は、情報を「隠して」から「見せる」

  そして、下図のように並び替えるとともに、ボックスのなかに文字を収めます。

一流のプレゼン資料は、情報を「隠して」から「見せる」

  そのうえで、下図のように、すべてのボックスを隠せば完成。

一流のプレゼン資料は、情報を「隠して」から「見せる」

 プレゼン本番では、下図のように、アニメーションで一枚ずつボックスを開きながら、「7つの極意」を順に説明していきます。

一流のプレゼン資料は、情報を「隠して」から「見せる」

 こうすれば、はじめから”ネタバレ”していませんから、聞き手の興味を引きつけながら説明をすることができます。聞き手にすれば、「次は何だろう?」とワクワクしながらプレゼンを聞くことができるわけです。

 このように、聞き手の興味を引きつけるプレゼンをするためには、はじめから”ネタバレ”しているスライドをつくるのではなく、情報を上手に隠して、少しずつ見せていくことを意識するようにしてください。一流のプレゼン資料は「隠してから見せる」のです。

一流のプレゼン資料は、情報を「隠して」から「見せる」
前田鎌利(まえだ・かまり)
1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会、経営戦略部門において中長期計画の策定、渉外部門にて意見書の作成など幅広く担当する。
2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして数多くの事業提案を承認されたほか、孫社長が行うプレゼン資料の作成も多数担当した。ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍したのち、2013年12月にソフトバンクを退社。独立後、『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』(ダイヤモンド社)を刊行して、ビジネス・プレゼンの定番書としてベストセラーとなる。
ソフトバンク、ヤフーをはじめとする通信各社、株式会社ベネッセコーポレーションなどの教育関係企業・団体のほか、鉄道事業社、総合商社、自動車メーカー、飲料メーカー、医療研究・開発・製造会社など、多方面にわたり年間200社を超える企業においてプレゼン研修・講演、資料作成、コンサルティングなどを行う。