イランの資金調達ルートを細らせようと米国が制裁強化に動く中、サイード・モハンメド氏(50)は自国経済の血流が滞らない手だてを探すために奔走している。同氏はイランの軍事組織イスラム革命防衛隊(IRGC)のエンジニアリング部門である「ハタム・アンビヤ建設基地」の新トップに就任。米国が課す前例のない経済的圧力の影響を和らげることを目指す。同氏は別のIRGC関連企業の責任者として洗練されたショッピングモールやレストラン、ゴルフリゾートなどを建設し、イランの消費者の心をつかんだことで名を成した。今度はIRGCが率いる280億ドル(約3兆円)規模のビジネス帝国で特に高収益をたたきだすハタム・アンビヤを動かし、足元のぐらつくイラン経済を安定させるほか、臆病な外国人投資家が置き去りにしたプロジェクトの空白を埋めようとしている。