米連邦準備制度理事会(FRB)は、利下げを想定するほど経済状況を懸念している。しかし懸念が解消される頃までには米株価が著しく高騰し、FRBに全く新しい懸念材料を提供することになるかもしれない。FRBのジェローム・パウエル議長は、10日の下院金融サービス委員会での証言で「貿易摩擦をめぐる不透明感と世界経済の強さに関する懸念が、引き続き米国の経済見通しに影を落としている」と述べるともに、インフレ率が依然低水準にあることを指摘した。これは、今月中の利下げ実施は確実だと言ったに等しいうえ、少なくともあと1回、9月に追加利下げを行う可能性が高いということだ。投資家らは、同議長の発言をそう受け止めた。パウエル氏が証言する前は下げ気味にあった株価が上昇に転じ、史上最高値付近まで水準を戻した。