チャーリーの家族も同様だ。残された時間が少ないチャーリーのベッドをはさんで、成人した2人の子どものグレッグとマリアンが、怒鳴り合いを始めた。きっかけは、遺言状の内容だ。グレッグは父親に尽くしているのに、家を出て自分の望む人生を歩んでいるマリアンが財産を同じだけもらうことに怒っているのだ。2人の諍いは、遺言状に限らず、20年以上も積もり積もってきたという。

 また、チャーリーはグレッグを心配していた。自分に尽くしすぎるうえに、子どもの顔を見る時間もないほど、長時間働き続けていたためだ。「ただ、幸せになってほしい、どんな親も自分の子どもにはそう願うだろう。あんなに働くのをやめて、シンプルな暮らしをしてほしい」。

 そこで、著者はチャーリーに「グレッグに愛していると伝えてはどうか」と提案した。グレッグがチャーリーに愛されていることを理解していないのではないかと感じたのだ。

 チャーリーはグレッグに自分の気持ちを伝え、それを聞いたグレッグとマリアンは距離が近くなった。3人の心が通じ、癒される瞬間だった。

 チャーリーが逝去した後も、グレッグとマリアンはよい関係を続けている。そして、グレッグは、チャーリーの望んだとおり、転職し、以前よりもシンプルな生活を送っている。収入は下がったものの、子どもと過ごす時間が長くなり、生活の質はあがったという。

◆幸せをあきらめなければよかった
◇幸せになる権利

 国際的な企業のエグゼクティブであるローズマリーは、その州で女性初の経営者として高い地位に就いた。しかし、そんな彼女には不幸な結婚の経験があった。精神的にも肉体的にも虐待を受け、離婚をしていたのである。当時、離婚はスキャンダルだった。

 名家だった家族の評判を損なわないためにも、町を離れなければいけない。そう考えた彼女は心を閉ざし、頑なになっていった。ひたすら努力し、男性優位の世界での成功に全てをささげていた。