自分が死んでしまった後、お金や不動産など目に見える遺産は相続を考えることだろう。しかし、“情報”という目に見えない遺産もある。PCやスマホの中、あるいはクラウド上にある“デジタル遺産”だ。電子マネーや仮想通貨だけでなく、写真やSNS上の記録すらも生前の資産なのである。ここでは、「デジタル遺品」の調査サービスを行っているデジタルデータソリューションに、最新事情を聞いた。(ライター 相馬留美)
死後に残された「デジタル遺品」を
訳あって家族が探し回る
自分の死後、PCやスマホのデータはどうなってしまうのか。
パスワードがかかっていたり、PCのどこにデータを置いているのか知らせていなかったりして、データは2度と日の目を見ないケースが大半だろう。しかし、そうして死後に残された「デジタル遺品」を、訳あって家族が探し回ることもある。
デジタルデータソリューションという企業では、2017年9月に「デジタル遺品調査サービス」を開始した。同社はもともと、消してしまったデータの復旧やデータ調査解析に特化した企業で、うっかり消してしまった写真や動画の復活から、不正や犯罪の証拠データを探し出すデジタル鑑識まで、ありとあらゆるデータの調査・解析を手がけていた。依頼を受けたデータの復旧率は96.2%と世界トップクラスである。
そんな企業が「デジタル遺品」向けのサービスを行うことになったのは、近年亡くなった人のスマホやPCが持ち込まれ、「データを取り出してほしい」という案件が増えてきたからだという。
「初めはデータトラブルの一部としてやっていたが、お客様アンケートから『故人の連絡先やメールの内容を取り出したい』というケースがあることに気づいた」と同社の上谷宗久取締役は言う。