英国の新首相に就任したボリス・ジョンソン氏にとって、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)とは、英国が世界に背中を向けることではない。むしろその逆だ。EUを離脱することで、英国は国家として、世界経済において一段と自由で新しい立場にあることを示す機会となる。しかしながら、一つの国として世界に振り回される状況に身を置くことで悪い時期があるとすれば、今がまさにそうだ。ジョンソン氏らの運動に呼応して英国民がEU離脱を決めた3年前の国民投票から、世界経済は変化した。英国をEU離脱に導いたのと同じセンチメントが、保護主義や国家主義、グローバル化への敵意となって、米国から中国、イタリアに至るまで広がっている。こうした状況は、英国が交渉で強い立場にあっても極めて困難だが、そういう立場にはない。確かに失業率は低い。だが英国の生産性の伸びは低迷しており、EU離脱を巡る不透明感が企業の投資を抑制している。柔軟な労働市場、低水準の法人税という英国の伝統的な2つの長所は、欧州の隣国からかなり頻繁に模倣されてしまった。
ジョンソン氏の英国、待ち受けるのは冷淡な世界
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