京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオで35人が死亡した放火殺人事件は発生から13日を過ぎたが、重度のやけどを負ったさいたま市見沼区大和田町1丁目、青葉真司容疑者(41)=殺人容疑などで逮捕状=は依然として重篤な症状で、京都府警は事情聴取などを実施できていない。前代未聞の惨劇を引き起こした動機は、いったい何なのか。身柄を確保された際、青葉容疑者は警察官に「小説を盗まれたからやった」と話したとされるが、具体的に何のことを指しているのかは不明のままだ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
容疑者と同姓同名・同一住所の小説応募
京アニの代理人弁護士は7月30日、同社が募集している小説などを調べたところ、青葉容疑者と同姓同名の人物が応募していたことが確認されたと明らかにした。住所も一致したという。
同社はプロ、アマチュア、年齢を問わず広く一般から小説などの作品を募集する「京都アニメーション大賞」を毎年開催。大賞作品はアニメ化され、文庫本としても出版される。これまで同社は社内の記録に青葉容疑者の名前は残っていないと説明し、応募は確認できないとしていた。
しかし1次審査を通過せず、社内で青葉容疑者と同姓同名の人物が応募した作品の存在は認識されていなかったとみられる。
代理人弁護士は「応募した人物が青葉容疑者かどうかは確定していない」とし、時期や内容は明らかにしなかった。ただ内容を確認したところ、同社が手掛けた作品と似たような表現はなかったという。