らしさでありジレンマでもある
オフロード性能へのこだわり
Go Anywhere, Do Anything(どこでも出かけられ、何でもできる)を掲げてきたジープブランド。第二次世界大戦で活躍したウイリス・ジープからスタートし、現在のSUVブームの先読みをするかのように、1990年代にはウィリス・ジープ直系であるラングラー、斬新かつ革新を謳うチェロキー、そして高級乗用車コンセプトを採用したグランドチェロキーの3車種を展開した。
しかし、いざブームになってみれば世の中のSUVの多くはオンロード性能を優先し、乗用車のプラットフォームをベースにしたモデルが主流に。このSUVブームの中で「オフロードを走れる」というジープの本質は、アドバンテージではなく、むしろ、快適性に劣る要因として捉えられてしまう。そして会社の経営難も重なって、なかなか次の一手を打ち出せずにいた。
そもそもオフロードを得意とするモデルは、快適性を求めて改良したところで、オンロードでは不利となるパーツ(オフロードで有利となるパーツ)を捨て去ることはできず、快適性を追求しきれないところがあった。
一方、乗用車のプラットフォームをベースにした他メーカーのSUVは、そこそこのオフロード性能が与えられたライトテイストゆえ、快適性はしっかりと確保されていて、SUVブーム当初においてはそちらの手法がもてはやされていた。
もちろん、走破性にこだわり過ぎているとSUVブームの波には乗れないことをジープはわかっていたはずだが......捨てるわけにはいかない、そんなジレンマがあった。