中国人民元が5日、約11年ぶりに1ドル=7元を割り込んだ。こうした小さな動きが市場で大きく注目されるのはまれで、今後を大きく左右しかねない
これまで7元を超える元安を何度も防いできた中国人民銀行だが、1日にドナルド・トランプ米大統領が追加関税をちらつかせたことに対抗し、元安を容認したことは明らかだ。人民銀は5日、人民元の基準値(中間値)を大幅に引き下げた。そして7元を割りこんだ直後、人民銀は発表文で「保護主義的な措置と中国に対する追加関税の見通し」の影響で元安が進んだと説明した。
元安が進めば、外国市場で中国製品の価格競争力が高まり、トランプ大統領の悩みの種である米国の対中貿易赤字が拡大することになる。
ただ、これまで突破しないと考えられていた水準、または防衛ラインになると投資家が考えていた水準を割り込んで元安が進んだことで、深刻なリスクも伴う。