「企画プレゼンが通らない」「営業先の反応が弱い」「プレゼン資料の作成に時間がかかる…」など、プレゼンに関する悩みは尽きません。そんなビジネスパーソンの悩みに応えて、累計25万部を突破した『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』シリーズの最新刊『プレゼン資料のデザイン図鑑』が発売になりました。この連載では、同書のコンテンツを紹介しながら、著者・前田鎌利氏がソフトバンク在籍時に孫正義社長から何度も「一発OK」を勝ち取り、ソフトバンク、ヤフーをはじめ約600社に採用された「最強のプレゼン資料作成術」のエッセンスをお伝えします。

 早速ですが、この約30秒の動画をご覧ください(お急ぎの方は、この動画だけご覧いただいてもポイントを把握いただけます)。

 いかがでしょうか?

 改めて、NGスライドを見てみましょう。

 これは、自動車業界向けに「若者の自動車所有率の低さ」を訴えて、対策を提案するプレゼンのスライドです。しかし、「若者の自動車所有率8%」という数字が、どれほど危機的な数字なのかがあまり伝わってきません。問題意識を共有している社内プレゼンであれば、このスライドでよいかもしれませんが、問題意識を必ずしも共有していない社外プレゼンでは、「このスライドが何を伝えようとしているのか?」がより伝わるように工夫する必要があります。そうでなければ、相手の興味をひきつけることができないからです。

 ポイントは「8%」という数字です。この数字にインパクトをもたせるために、どうすればよいでしょうか? ここでご紹介したいのが、数字にインパクトをもたせる方法のひとつである「比較法」です。

 たとえば、「若者のガラケー利用率8%」という数字と比較してみるとどうでしょうか? スマホに駆逐されたガラケーの利用率と、自動車所有率がともに「8%」であることを知れば、自動車業界の人々は強烈な危機感をもつはずです。

 そこで、私ならば、下図のように、「自動車所有率」と「ガラケー利用率」を対比させながら、両者が同じ「8%」であることが際立つようなデザインにします。

  ご留意いただきたいのは、このような本編スライドでは数字の詳細を伝える必要はないということです。聴衆などから「自動車所有率とガラケー利用率の詳細を教えてほしい」などと聞かれたら、詳細を記したアペンディックスを示せばいいのです。本編スライドでは、「危機感」を伝えることを主眼に、数字のインパクトを伝えるシンプルなデザインにするように心がけてください。

 また、「自動車所有率」と「ガラケー利用率」の対比を瞬時に理解してもらうために、上図では「自動車」「ガラケー」のアイコンを掲載しました。テキストだけで表記するよりも、ビジュアルを添えると瞬時に理解してもらえるからです。

 ただし、ビジネスプレゼンでアイコンを使うと、やや説得力(リアリティ)を損ねる印象がありますので、下図のように写真を背景に使うのも効果的です。

 いかがでしょうか? 格段にスライドのメッセージ性が強化されたのではないでしょうか?

 社外プレゼンでは、相手の「危機感」「期待」などの感情に訴えなければ、集中してプレゼンを聞いてもらえません。そのためには、単に「数字」を表示するだけではなく、その「数字」がもつ「意味」をインパクトのある表現で伝える必要があります。

 そのひとつの手法が、この記事でご紹介した「比較法」です。このような手法を身につけることで、社外プレゼンでの相手の反応が劇的に変わってくるはずです。ぜひ、参考にしていただきたいと願っています。

前田鎌利(まえだ・かまり)
1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会、経営戦略部門において中長期計画の策定、渉外部門にて意見書の作成など幅広く担当する。
2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして数多くの事業提案を承認されたほか、孫社長が行うプレゼン資料の作成も多数担当した。ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍したのち、2013年12月にソフトバンクを退社。独立後、『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』(ダイヤモンド社)を刊行して、ビジネス・プレゼンの定番書としてベストセラーとなる。
ソフトバンク、ヤフーをはじめとする通信各社、株式会社ベネッセコーポレーションなどの教育関係企業・団体のほか、鉄道事業社、総合商社、自動車メーカー、飲料メーカー、医療研究・開発・製造会社など、多方面にわたり年間200社を超える企業においてプレゼン研修・講演、資料作成、コンサルティングなどを行う。