「パクリ天国」も今は昔
権利関係に厳密になった中国政府

 映画業界も似たようなものだ。ある中堅映画製作会社はこのように言っていた。「中国から映画製作のオファーをたくさんいただく。しかし、基本全てお断りをしている」と。

 日本の人口が減少していく中で、すぐ近くのGDP世界2位(GDP額は日本の倍以上)の国のマーケットを活用しないのは、とてももったいないことだ。

 かつて、中国は海賊版、バッタ品の一大産地だった。コンテンツ業界やファッション業界などが、根強く当時のトラウマを抱えているのは無理もない面もある。しかし、忘れないでほしい。日本も昔は、アメリカのものをまねして、「パクリの日本」と揶揄されていたのだ。しかし、今の日本人はもうそんな暴挙には出ない。中国も同じである。時が流れ、より洗練されたビジネスマナーを身につけた国に成長しているのだ。

 実際、中国政府は国際社会をかなり意識していて、権利関係にもとても目を光らせている。

 例えばあるとき、私は深センの中江影視という映画製作会社から、東野圭吾さんの「容疑者Xの献身」という人気小説の映画化権利について、困っていると相談を受けた。中国政府が「間違いなく映画化の許可が取れていることを文書で証明しなさい」と強く言ってきたというのだ。しかし、中江影視は韓国の会社から映画化権を購入していたために、日本からの正式な書類を持っていなかった。

 中国政府はこのように現在、権利の根元まで全て明らかにしないと上映の許可を出さない。これぐらい厳しく管理をしているのだ。

 結局、この中国版映画「容疑者Xの献身」は私も少しアシストをして無事上映に成功し、4億元以上の興行収入となり、当時としては大成功をおさめた。

 最近、中国の有名女優の脱税事件があったが、あれも中国政府が市民の不満が出ないように、莫大な出演料を受け取っていた有名女優たちを調査したから発覚した。とにかく今の中国政府は昔とは違い、かなり厳格に管理をするようになっている。