イランは4日、2015年のイラン核合意について、週内にも履行破棄を一段と進める構えをみせた。米国の制裁による打撃を緩和するよう、欧州諸国に対し圧力をかける狙いがある。欧州諸国はフランスが中心となって、核合意の完全履行の見返りとして、イランに150億ドルの経済支援を提供する取り組みを進めている。イランは7月以降、核合意で定められた義務の一時停止に着手した。欧州はまた、ペルシャ湾でのイランによる一連のタンカー拿捕(だほ)を受けた対立も和らげようと努めている。核交渉を中心になって進めてきたイランのアッバス・アラグチ外務次官は4日、同国が定めた9月7日の期限までに欧州諸国が合意に達する可能性は低いとの見方を示唆。「核合意の完全履行は4カ月間に150億ドルの支援を受け取るかにかかっている。支援が得られなければ、イランは義務履行の破棄を進める」と述べた。国営イラン通信(IRNA)がアラグチ氏の発言を伝えた。150億ドルの支援は、原油の事前購入か信用枠の形で提供できるとしている。