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アップルも“小さなiPad”発売に追い込まれる?
グーグル「ネクサス7」が変えるタブレットの未来

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第204回】 2012年7月12日
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 後者の特徴は、まずサイズ。おかしなもので、7型は本を読むのはともかくとしても、動画を見たり雑誌を読んだりするのには、少々無理があると思われていた。ところが、そんなことはまったく心配ない。いったん見慣れてしまうと、7型は十分に大きなサイズだ。その上で、ネクサス7のデザインは持ちやすさにこだわり、手のひらにも無理なく収まる。また、かばんに入れて持ち歩いても、忘れてしまうくらい軽いのだ。

 通信機能も両者の違いだ。iPadは、携帯通信機能にこだわった高位機種も出しているが、アマゾンのキンドル・ファイアーもグーグルのネクサス7もWi-Fi対応機のみ。最近はどこへ行ってもWi-Fi環境が整っている上、あらかじめダウンロードできる機能も多く、携帯通信に固執する必要はなくなったとも言える。

 小さなiPadについては、かつてスティーブ・ジョブズがそんな中途半端なサイズを出したのでは、製品間の差別化ができないと、アップルの株主総会でとうとうと説明したことがあった。だが、ネクサス7の登場でアップルも7型iPad発売に追い込まれることは、ほぼ間違いないだろう。

 とは言うものの、今やタブレットの競争はハードウェア云々だけで終わるものではない。クラウド上のコンテンツの数、クラウドへのアクセスの簡便さ、そしてアプリを開発するディベロッパーの数など、いろいろな要因が影響を与える。アンドロイド向けディベロッパーの数の点では決して負けないが、グーグル・プレイのコンテンツがどの程度充実するのかは、まだ未知数。これからは、やはりクラウドの勝負ということになるのだ。

 また、グーグルは自社ブランド製品という意味では、グーグルフォンで慣れない販売に手を出して、余計な障害を自ら作り出してしまった感もある。そのあたりも、ビジネス面でのスマートな改良が望まれるところだ。

 だが、ネクサス7への期待はかなり高い。タブレットを取り巻く業界図を、これがすっかり書き換える可能性もなくはない。


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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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