ここで話を個人向け国債変動10に戻すと、筆者が特に重視しているのは、(2)の長所だ。個人向け国債変動10よりも幾らか利回りのいい運用対象は存在する場合が多いのだが、その差が小さい割に、長期金利が上昇するような状況の変化があった場合に損をしかねないものが少なくなく、そのリスク判断は時に複雑だ。

 多くの個人にとって、リスクを取りたくない資金は個人向け国債変動10を「避難場所」にしておくのがシンプルで無難だ。

 変動金利型で長期金利の66%の利息が支払われるので、長期国債との利回り差は、長期金利が3%に達するまで1%を超えない。個人にあっては、将来、長期金利が2%を超えてきたら、他の運用対象を考えるというくらいでいいのではないか。

 そして、何といっても今現在は、機関投資家から見て「あれを買えたらいいのに!」という運用対象なのだ。

預金金利と比べて見誤るな
「小さな好利回り」を警戒せよ

 低金利、特に長期金利がマイナスになるような状況下では、「高くはないけれども、プラスの利回りが見込める」運用対象が魅力的に見える場合がある。

 どれくらいの利回りを「高くないけれども魅力的だ」と思うかは人にもよるが、利回りが「高くない」という印象は、「リスクが大きくない」というイメージとセットになりやすいので気を付けるべきだ。

 例えば、個人向けに売られている社債は、信用リスク等の面から見て、機関投資家には魅力的に見えない条件だからこそ、手間とコストを掛けて営業マンを使って個人向けに売られているわけだ。従って、手を出さない方がいい運用対象なのだが、例えば「1%も利回りがある」という点がゼロ金利の預金よりもずいぶん良く見えて、投資してしまう可能性がある。

 ちなみに、前出のリスクをとることが難しい機関投資家にあっても、10年国債にプラスの利回りがないなら、もっと年限の長い国債はどうか、地方債はどうか、社債の運用を増やせないか……、といった方向で運用方針の変更が検討されたという。