所得の高さにかかわらず貯蓄・投資は必要
6月は、多くの日本企業でボーナスが支払われる時期だ。読者にも、ボーナスを楽しみにされている方が多数おられよう。もっとも、実質給与所得が伸び悩む中、ボーナスの大半を、生活費や月々の収支の赤字補填に充てる家庭が少なくないかもしれない。
始めに「身も蓋もない正論」を言うなら、高所得の人もそうでない人も、給料からもボーナスからも、将来に向けた貯蓄や投資に回すお金がないとすると、その人は自らの経済的実力以上にお金を使い過ぎているということだ。今の生活が、あなたにとって分不相応なのだ。
人間は、周囲の人間と競争しがちな生き物なので、どの所得階層にあっても、「つい身の丈以上の支出をしてしまう」ということが起こりやすい。その結果として、将来に向けた貯蓄・投資が不足すると、将来不連続的に支出レベルを下げる(つまり、生活レベルを急に下げる)ことが必要になってしまうのだが、これは辛い。
所得の大小にかかわらず支出の抑制は難しいが、住居費、生命保険料(新しい契約に加入するような「見直し」に引っ掛からないことに要注意だ)、自動車の維持費(都会暮らしなら、公共交通とタクシー利用の方が安い場合が多い)、子どもの教育費など、固定的で大きな支出から見直すことが有効だ。特に、住居、自動車、衣服、子どもの教育費など“見栄”にかかわる支出のいずれかを意識的、そして戦略的に引き下げるとうまくいく場合が多い。